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「徳山君の部屋」の基本的な顛末

「徳山館」の第1回展示「徳山君の部屋」は、写真家・広瀬勉氏が当時おれが住んでいた4畳半の部屋を分割して撮影し、原寸大に伸ばしたモノクロの全紙プリントをすべてその場所に貼って、部屋を埋め尽くすというものだった。

おれはその部屋で1ヶ月間暮らす。
幸い部屋の中にはそれほど家財道具はなかったので、展示中は全て押し入れや天井裏に収納し切ることが出来た。必要なものはそのつど写真をめくって押し入れから出して生活した。
印画紙の上に布団を敷いて寝ると、するする滑るので妙な寝心地になった。

撮影は1987年11月の某日。
広瀬氏から事前に、○日〇時頃に行くから部屋を変に片付けたりしないように、との通達があった。
だから全く片付けずにいたら、本当にきちっと時間通りに広瀬氏はやってきて、淡々と撮影を始めた。
写真が本当にぴったりと合うのか?がおれは気になるのだがと言うと、「それは気にし出すときりがないから、とにかくやってみれば大丈夫」とどんどん撮っていく。これはもう写真家に任せようと思った。

約束通り家財道具を全部片付けた貼り込みの日。おれはまだ半信半疑だったが、全紙を何百枚も抱えて広瀬氏がやってきて、どんどんつないでホチキスや画鋲で貼っていった。
ドアは開閉するように、とくに丁寧に加工して貼り込んだ。押し入れや窓はめくれるように、上だけ留めて垂らす方式。

つなぎ目は大胆にずれてはいるが、それはまた面白みであると分かった。慣れてくるとそういうものかなと思えてくる。それより、そこに具体的に写っているものに目がいくのだ。
さっきまで自分の部屋にあったものが、すべて写真に置き換えられてあらためてそこにある。そうしたいと願ってそうしたわけだが、これはやはり異様な体験だ。
天井も畳の床ももちろん6面全部貼り込む。
おれの部屋がどんどんモノクロームに置き換わっていった。


会期は当初1988年1月15日から2月14日。広瀬氏がきちんと写真展としてのDMを出したり、雑誌「車掌」に告知記事を出したりした。
コピーは「生活者の居る四畳半展示室」。
「徳山館」の名刺も印刷したりした。(このへん、画像をあとで貼ります)。

週2日の開館日を決めて、電話予約制でお客さんを入れ、ほかの時間はとにかく普通に生活する、というのがこの展示に最初からコミのコンセプトだった。
だからおれはこの部屋から普通に大学にも通った。
後期試験もあったはずだが、どう乗り切ったのだろう。その辺はほとんど記憶がない。

とにかくけっこうお客さんが来た。大家にばれたら卒倒したのではないか(本当にばれていなかったのだろうか)。

1回だけ予約があったのにすっかり忘れて他所で飲んでいたことがあり、あの時はドアに張り紙をされて青くなった(健さんすみませんでした)。

ちょっと疲れたので中断。またここに続けて書きます。

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徳山君の部屋に来た人々

当時の記録写真が若干見つかりました。
その一部を公開。


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撮影した広瀬勉氏が写真を貼っているところです。

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広瀬氏です。


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バー「鳥渡」常連で高円寺在住ミュージシャンの古賀ひろゆきさんです。

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写真家でギャラリー「街道」主催の尾仲浩二さんです。

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写真家の飯村昭彦さん。徳山館を魚眼で記録した広瀬氏の写真は飯村さんに借りた魚眼レンズによるものです。

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写真家で「タキモトの世界」の滝本淳助さんです。「何か面白いことしなきゃ」と言って、ハンガーにかかった服(写真ですが)を取ろうとしているポーズをわざわざしてくれています。

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美学校・赤瀬川教室最終学年の一人で、モデルプランツのボーカルの安田亮さんです。今は安田理央という名前が有名です。

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広瀬さんの当時の同級生でいまは学芸員の橋詰文之さんです。

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東大路上観察藤森照信ゼミの創立メンバー、このあと住友海上火災に入り、現在は弁護士の宮武洋吉君です。

こうして見ると男ばかりのようですがそんなことはありません。素敵な女性もたくさん来館されています。

「私も「徳山君の部屋」に行ったはずなのですが?」という人はお問い合わせください。写真探してみます。

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徳山君の部屋@広瀬勉写真展

名古屋市のとなり、清須市はるひ美術館にて10/25〜11/4に開催された広瀬勉写真展「猫の塀、渡る鳥。」に行ってきました。

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じつはここで、東京都杉並区高円寺「徳山館」の第1回写真展として1988年1月〜3月に開催された、「徳山君の部屋」が一部再展示されたのだった。

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「徳山君の部屋」を撮影した写真家・広瀬勉氏と、当時のプリントを再展示した壁面の1枚。

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いきさつを書いた説明プレート、拡大すればかろうじて読めますか。

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本当は6面あったわけだが、今回は天井と床と壁面1枚の3面が再展示された。

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広瀬氏の初期代表作のひとつ「穴空きブロック原寸大壁面展示」はいつ見ても圧巻だ。

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「徳山君の部屋」を魚眼レンズで撮影した作品は販売用の絵葉書にもなっていてこそばゆい。息子に見せたら不思議がっていた。

「徳山君の部屋」については、また今度時間のあるときに詳しく追加して書きたいと思います。

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